単なる調整か、それとも景気後退のサインか
今月5日からの金融市場は大きく揺れた。ダウはリーマンショック時をも上回る下落幅を記録し、それに続いて世界の株式市場や債券市場も軒並み下落した。ショックの原因はいろいろ言われているが、低ボラティリティにかけるファンド、それもレバレッジをかけたファンドの一部が綻び一気に解約に結びついたことなどが言われている。また好景気により利上げするペースが早まって金融市場に悪影響を及ぼすだろうと市場参加者が予測したとも言われている。
蝶の羽音が轟音となるように、金融市場では少しのほころびが大惨事につながることもある。昨今のような高PERがずっと続くこと自体が異様で、市場はゴムをめいっぱい引っ張っているような張り詰めた感じがあった。また市場が調整局面に入ることについてはこのメールマガジンでも散々伝えてきたことでもあるので、弊社クライアントは特に動揺していないことと思う。
問題は今回の株価下落は果たして感情的なものなのか、それとも今後の実経済を占う不吉な予兆なのかということだ。
私どものスタンスとしては、後者を取りたい。理由は3つある。
1つ目の理由としては、実経済が依然として好調なことだ。住宅の新規着工がやや鈍化したくらいで、企業の積極的な設備投資の姿勢や人々の消費意欲は一向に衰えていない。待ち望んだインフレも期待できそうで、連銀が利上げ速度を早める根拠は一言でいうと「景気がいい」からに他ならない。
2つ目の理由は、目立った信用リスクが見当たらないことだ。確かに中国の債務は膨大だし全世界の貯蓄率は下がっている。成長鈍化のバッファーは日に日に少なくなってきている。しかしそれら信用リスクが一気に顕在化する兆しはまだない。
3つ目の理由は、アメリカ株式のここ1週間でETF(上場投信)からの資金流出が止まったことだ。ETFの資金の出入りと、アメリカ経済の好調不調は相関がある。人は不景気なときに資産運用したいとは思わない。
何かのきっかけで株式市場が暴落しない限り、今回の実経済に与える影響はほとんどないと考えている。
ポートフォリオは
弊社のポートフォリオは昨年からもともと保守的に調整してあったので、今回のクラッシュには耐性があった。弊社のポートフォリオにスイッチしてからリターンが上向いたと言ってくださることはありがたいが、弊社のここ1年のポートフォリオは利回りをやや犠牲にして守りに入ったポートフォリオである。弊社がフルスロットルでリスクを取りに行くには市場がもっと恐怖で満たされなければならないが、まだそのタイミングではない。
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