連銀のパウエル議長が示した、「歴史的にみても急激な利上げ局面は終わりつつある」という見解は地球上の投資家を安堵させつつある。かつては「こんな急激に利上げしたら、低利に慣れきってしまった企業が新しく借りれなくなりハードランディングになる」と予想されていたし、我々もそう考えていた。 しかし実際はハードランディングには今のところなっておらず、ましてやリセッションの話もほとんど出てこなくなっている。しかも今回のインフレは人々がモノを欲しがって値段が上がっていくわけではなく、コロナや戦争で製造流通コストが高くなっていることが原因なので、金利を上昇させて解決するわけではない… という言説が一般的だった。 「何か悪いことが起こるぞ」と身構えていた投資家にとって、株価も絶好調でリセッションの気配もないなんてちょっとしたミラクルが起こっているような感覚だ。しかもインフレが落ち着いて連銀は利下げをするという。利下げは経済が異常な状態でなければ株価にとっては追い風となるので、むしろ今からでもリスク資産に全振りするような空気が流れている。 実際に先物取引のリスクオン・オフのゲージを見ると |
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* USドル * S&P500 * NASDAQ100 * 石油 で強いリスクオン姿勢が見られる。すなわちドルが引き続き強く、したがってアメリカ株式市場の拡大は今後しばらくは続くとみている投資家が多いということになる。 |
円安の終わり |
ちなみに、円安もそろそろ打ち止めだ。米国が金利を下げて、日本がもし金利をあげることになれば一気に円高に振れる。少し前のニュースレターで書いたが、円ドルが160、170といくことはほぼなくなったといえるだろう。また日本も給料が上昇していることもあり、このまま金利を上げたとしても住宅ローンその他の痛みを吸収できるくらいのポテンシャルが備わってきたというコンセンサスがあるなか、金利正常化に向けてのハードルは高くない。 |
【ポートフォリオ】 |
上記のような株高のセンチメントが続くかぎり、大きくポートフォリオを変更するには時期尚早と思われる。ゴールドマン・サックスなど主要投資銀行がレポートしているように、いわゆる60/40ポートフォリオ(株式60%、債券40%)でも十分に良好なリターンを取れると考えると、値の下がった債券割合を徐々に増やしていく2024年になりそうだ。 |