あまりにも直感に反する高値が続いているため、弊社にも上記のような問い合わせがきている。聞けば、子供が就職したのでこの機会に積立投資を検討させたい、予定していた仕事の引退が当分先になったので新たに積立をしておきたい、など。 この「これからも積立投資が有効か」という質問はたいへん味わい深い。もし積立投資が有効でない、というはっきりとした認識があればこの質問をするには至らないわけなので、そもそも「これまでは積立投資が有効であった」という認識と、直感には反している株高で高値づかみを強いられる=積立投資には向いていない時代が来るのではないかという不安が混じっているように思う。 すなわち「これからも積立投資は有効なのか」という質問に適切に答えるためには、 そもそもこれまで積立投資は有効であったのか 高値づかみを強いられてもなお、積立投資は勝てる投資か という2つに答えていかねばならないと思う。 |
1. そもそもこれまで積立投資が有効であったのか 特に弊社にご相談いただく方はいわゆる「ブローカー」「紹介者」と呼ばれる資産運用の素人からの紹介で積立投資に加入したのであり、それだけにご自身で腹落ちして入ったのではないので「大丈夫か」という不安がつきまとっていたように思う。 しかし結果だけみると少なくともこの10年においては多少めちゃくちゃなポートフォリオであっても右肩上がりで資産は増えていっているはずであり、額面上は積立投資は有効であった。もちろん、10年前に積立投資をしていればもっと資産は増えていたという意味では一括投資をしていたほうがよかったのかもしれないが、少なくとも積立投資がダメな資産運用方法というわけではなかった。 積立投資が有効なのは、一直線で右肩上がりでもダメ。途中の騰落がありながらも積立終了時に、資産購入価格よりもプラスであれば良いというシンプルな手法である。そして日本一国では大きな成長は見込めないものの世界全体でみるとアメリカや中国が世界の成長を引っ張ってくれるという安心感がある。 過去10年は騰落がありながらも資産購入価格よりも高い水準となっているので、そういう意味では積立投資はベストな運用方法ではなかったかもしれないが、かといって悪い運用方法でもなかったように思う。 |
2. これからも有効な投資手法か バフェット指数と呼ばれる指数がある。これは株式市場の大きさをGDPで割ったものだ。株式が割高か割安かを判断するものだ。バフェット指数がいつも正しいわけではもちろんなく、資産運用を考える人にとっては時々参考にしてみる程度のものだ。 バフェット指数によると、現在の水準は2000年前後のインターネットバブルの際よりも割高になっている。なので「高値づかみをするかもしれない」という感覚は正しいと思う。この株価からさらに2倍になることは、なかなか想定できないからだ。 積立投資は株価のどこか谷なのか山なのかを予想しない、どちらかというと後ろ向きな投資手法だ。それから考えるとむしろ何も考えずに積立投資を開始するというのもテであろう。しかし僕であれば、もし積立開始まで時間があれば、1-2年は待ちたいと思う。まだ熱狂が続いており、過去の経験からいうとこういった場合は自分が思うよりバブル破裂はずっと後なのだ。 なので「積立投資はこれからも有効か」という質問に対してはこう答える。「これからも有効だが、もし1-2年、バブル崩壊まで待てるなら待ってみるのもアリだと思う。下落局面で開始したほうがよりリターンが取れるし、気分がいい」 参考になれば幸いだ。 |
ポートフォリオ
先月からの戦略にまったく変化はない。 各国の金融当局は今後来たるべき不景気に備えてさらなる緩和・補助金を大盤振る舞いするはずである。これらが続いている限り金融市場の底は固い。また2020年からの景気回復フェーズで先進国でも5%前後の経済成長を見込めることを考えると、ただただ市場が高値圏を突破し続けているという理由でリスクオフする必然性は全くない。 こういうときは吹かせるだけ吹かせておく、というのが資産運用のセオリーだろう。 |