このバブルの象徴する銘柄を一つあげるとすると、それは間違いなくテスラの株式となる。政府からの莫大な補助金がマーケットにテスラの株式をあげるだろう。どの国もまったく準備ができていないなか、コロナ対策の助成金をばらまかねばならなかった。 それが全額消費に回ることを政府は期待しただろうが、コロナですぐには生活が困らない層は天から降ってきたカネをそのまま株式や仮想通貨に突っ込んだ。少額トレーダーのアプリである「ロビン・フッド」の新規口座開設はコロナ後500万口座にも達した。 日本の証券会社の雄である野村證券の口座数が1,000万であるので、日米の人口比を考慮したとしてもそれがいかに急激だったか想像いただけるだろう。 新しくアプリで証券取引を始めた投資家たちは、もちろんほとんどが株式取引をしていなかった層だろう。そして新米投資家が最初に考えることといえば、 「自分が知っている会社の株式に投資をしたい」 である。そして自分が知っている会社の中でも、なんとなく先進性がある会社… 要するにテクノロジー系の会社であるとか、テスラなどのEV系の会社だ。そしてそれらの会社は暴騰した。テスラ株はわずか1年で9倍にも株価が到達し、CEOのイーロン・マスクがアマゾンのジェフ・ベゾスを抜いて世界一の資産家となった。 しかしテスラの株式が上昇したのはテスラの自動車の販売台数や利益が9倍になったからではない。善戦はしているものの、売上・利益ともに1年で1.5倍程度である。それらが正確に株式に反映されるとするならば、株価は9倍ではなく1.5倍になっていなければおかしいのだが投資家の期待がはるかに上回った。 |
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そして調整局面がやってきた テスラ株だけでなく、テクノロジー系を中心として暴騰していた株式は先月から調整局面に入っている。テスラ株は高値から30%以上下落し、「果たしてこのままテスラ株を保有していて良いのだろうか、利益を確定したほうが良いのか」と逡巡していた投資家が一斉に売りに走ったのだろう。 とはいえこれですべてのバブルが終わったわけではない。この調整局面が「終わりの始まり」という意見もあるなか、弊社としてはまだまだこの高値圏が続くと考えている。なぜなら、中央銀行が少なくとも2023年までは利上げを行わないことは確定しているし、インフレになりそうな兆候もない。補助金はこれからもダラダラと捻出され続け、それが消費にまわらず金融市場に向くという巨大な官製相場を維持されるだろうからだ。 |
ポートフォリオ
調整局面が来たからといって、必ずしも焦る必要はない。資産運用を始めたばかりのころであれば、こういった上下に一喜一憂するものだが積立投資家はどっしりと構えておればよい。一時的に額面の数字が悪くなったとしても気にすることはない。 資産運用は大雑把に考えていたほうが成功確率は上がる。もちろん、売り局面がくれば私たちがシグナルを発し始めるので、その時までのんびりとしていただきたい。 |