直感に反するからドルコスト平均法は難しい
今回の記事は、なぜ積み立てを数年で止めてはいけないのか?の第3回目です。前回の記事では、積み立て停止の理由として、「期待していた利回りが出ないから」という理由はもったいないと書きました。しかし、利回りが良くないとどうしても投資を続けていいのか悩んでしまうものですね。
そこで登場するのがドルコスト平均法という考え方です。ドルコスト平均法とは毎月一定額を投資し続けることで買い付け価格を平均化していく手法をいいます。但し、このドルコスト平均法を採用したからといって儲かる、というわけではありません。
投資対象が高いか安いかを判断せずひたすら投資をしていくことで、平均的には儲かるチャンスがある、というだけの話です。ですのでドルコスト平均法自体がスゴイわけでもなんでもありません。しかし、このドルコスト平均法を継続するのが難しいのは”利回りが悪いときにこそ積立を継続しなければならない”という直感に反する部分なのです。
ドルコスト平均法の効果を検証
たとえば、リーマン・ショック前後、2007年6月から2012年の5月までの株価105年分=60ヶ月に積立投資をすることにしてこのことを検証してみましょう。
この時期、リーマン・ショックをはじめとして投資家として肝を冷やすことが何度もありました。しかし、ドルコスト平均法が威力を発揮するのはまさにこのような相場です。その秘密は、ドルコスト平均法のキモである”安くなったときに口数を稼ぎ、リバウンドしたときに稼ぐ”という効果が最大限に発揮されるからです。
ちなみに、この期間で一括で投資をしますと最終的な利回りは8%ほどのマイナスです。しかし積立投資ですと利回りの推移は以下のようになり最終的にはプラスで終わります。
ここで強調したいのは、積立当初から利回りが急激に悪化しますが、その期間も変わらず積立を継続している点です。ここで多くの方が同じミスをしてしまいます。すなわち
“利回りが悪くなってきたから積立を停止しよう”
というミスです。利回りが悪くなったから積立を停止してはいけません。むしろ、利回りが悪いからこそ積立を継続しなければならないのが積立投資です。
一方、利回りがマイナス10%となったときから1年間積立を停止しその後積立を再開した場合利回りはこのようになります。
このように、”利回りが悪くなったから積立を停止する”というのは投資途中の利回りを更に悪くし、さらに最終的な利回りまでも落としてしまうのです。
これとは逆に、同じく利回りがマイナス10%と悪くなったところで1年間積立額を2倍にし、その後また積立額を戻した場合はどうなるでしょう。
利回りが悪くなったところで積立額を増額すると、最終的な利回りはむしろ上昇しました。これは単純なお話で、株式市場が不調なとき、すなわち株式が安くなったときに多く買い増し、それが後に市場がリバウンドする際に効いてくるのです。
安い時に買い続けるからこそ平均購入単価が引き下げられ、最終的に恵みをもたらします。積立投資を難しくしている要因は、このように利回りが悪い時にこそ積立を継続しなければならないという、直感に反する部分(しかし論理的には正しい)があるからです。
非常に多くの方が誤ってこの直感にしたがってしまいさらに利回りを悪くさせています。直感とは逆に行動しなければならないのが積立投資の難しいところです。株式市場が悪くなっているときにこそ勇気を出せば、その勇気は必ず報われるのです。
したがって、経済的に難しくて積立を停止するのでなければ、余計なことを考えず愚直に積立を継続するか、少し欲張りな方は利回りが悪くなってきたときにこそ積立額を増やすことを検討していただきたいものです。間違っても”利回りが悪いから積立を停止しよう”などと思わないようにしてください。
積み立て停止は計画的に
いったん積立を停止してしまうと、再開のきっかけをつかみにくいことは前の記事で書きました。しかし様々な事情から積立停止を余儀なくされる場合もあります。
そこでIFAスイッチでは、積立を停止するのと同時に1年後に積立を再開するかどうかをもう一度検討するようスケジュールに書き込んでいただき、必要であればIFAスイッチからリマインダーのメールをお送りさせていただくことも致します。
こうしておくことで積立再開のきっかけができ、積立停止をより計画的にし、結果として デメリットを最小限にすることできます。