前回のブログでは、コレじゃないポートフォリオの傾向と大量発生原因についてみていきました。今一度おさらいをしておきますと、コレじゃないポートフォリオとは、以下2つの条件のどちらかを満たすポートフォリオのことをいいます。
- ポートフォリオ構築のセオリーに沿わない
- 投資家たるクライアントのリスク許容度を無視
1つ目のポートフォリオ構築のセオリーとは株式/債券でリスクを調整し、投資先は分散させること。たとえば1本のファンドが全ポートフォリオの半分以上を占めるようでは分散効果は期待できません。
また2つ目のリスク許容度については残りの投資期間にあわせて適切なファンドを選択することです。たとえば契約までの期間が残り1年であるにも関わらず、中国株式ファンドを選択しているような状態です。
“コレじゃないポートフォリオ”がイナゴの大群のように大量発生し弊社に押し寄せている原因は、そのポートフォリオを組んだアドバイザーが目先の販売手数料にしか関心がないからです。これは香港のIFA業界の構造上ある意味仕方がないことです。ですので私たちに出来ることといえば、こういったアドバイザーの動機を知ったうえでその弱点をカバーすることです。
話は脱線しますが、香港のお手本であるイギリスのIFA業界ではすでにIFAが販売手数料を保険会社や証券会社から得ることが数年前から禁止されています。アドバイザーはプラン作成料やポートフォリオ助言料(アドバイス料)で収入を得ている形態に変化しました。イギリスでは販売手数料がいびつな動機をアドバイザーに与えることはないのです。弊社IFAスイッチは販売手数料を得ていないため、ビジネスの形態としてはイギリスに近いですね。
金融サービス最先端のアメリカは販売手数料ベースのアドバイザー、アドバイス料ベースのアドバイザーは半々ですが昨今はアドバイス料ベースのアドバイザーが台頭している印象です。
ここ香港でもいずれイギリスの形態を導入することは十分考えられますが、日本人と同じく香港人や中国人の間では”情報におカネを払う”という感覚がまだ乏しく、プラン作成料やポートフォリオ助言料のみを収入とするとなると多くのIFAファームが死滅することになるでしょう。香港はイギリスと異なり、保険業界がGDPに占める割合も大きく欧米流の方法をそのまま持ち込むことに抵抗も大きいようです。
販売手数料が収入の大部分を占める現在の仕組み上、収入に直結しないアフターサービスは行わない、というのがアドバイザーにとっては経済合理的なのです。これはいわば香港アドバイザー業界の暗い部分であるといえるでしょう。
しかしどの業界でも明るい面があり、それと同じく暗い側面があります。たとえば介護士は重労働のわりに低すぎる賃金のせいで介護士の方々の精神状態は危ういものとなっています。歯科医は数が増えすぎたせいで患者の歯に必要のない処置をほどこさないと自分たちは生きていけません。ペットショップに並ぶ可愛い子犬・子猫は可愛い盛りを過ぎると保健所に引き取られ殺処分されます。
オカネが絡む以上、完全に清廉で道徳的なビジネスは成り立ち得ないでしょう。アドバイザー業界の暗い部分を知った上、対処をすることが資産運用に臨むオトナの態度です。
“コレじゃないポートフォリオ”の傾向は分かった。ではその対策は?
まず、コレじゃないポートフォリオは殆どの場合修復可能です。ほとんどの場合、と申し上げたのは、投資期間が残り1年である場合などは修復に余計な時間を頂戴することもありますが、弊社のサービスに興味のある方は運用開始から日が浅いことも多いので、対応は難しくありません。
本稿をご覧になって、”もしかして私のポートフォリオはコレじゃないポートフォリオかも?”と感じてしまった方。すべきことは一つです。今すぐあなたが資産運用を任せているアドバイザーに連絡を取りましょう。そしてあなたが分かる言葉でポートフォリオの説明をしてもらってください。それはあなたが納得すれば、私どもの出番はありません。説明してもらうポイントは、
- 自分がとっているリスクの程度
- そのリスクは自分のライフプランに見合っているのかどうか
- そのファンドを選択している合理的な理由
実際、ポートフォリオについてはアドバイザーとの単なるコミュニケーション不全である場合も多いものです。アドバイザーがあなたのポートフォリオをよく知り運用を実践している場合、これらの問いに答えるのはさほど難しいことはありません。契約段階で説明されたことと現状の齟齬がないかどうかも今一度チェックするべきです。自分がこの資産運用にかける期待度と、現実的な期待度をすりあわせておく必要があります。
こういったクライアントからの問いに答えられるのであれば、まずはあなたのアドバイザーは合格でしょう。逆に以下のようなことがあれば危険なシグナルです。
- 当初高利回りを約束していた
- 連絡が取れない、返信がない
- そもそもアドバイザーが誰か分からない
こういった事象があれば、あなたのポートフォリオは99%”コレじゃないポートフォリオ”です。そこから脱出するためには、ぜひIFAスイッチにご相談ください。