この記事は、パナマ文書流出に関し、今わかっている事実と考えられる影響について見解を述べたものです。情報は正確ではない可能性もありますので、あくまで参考情報としてお読みください。
目次
パナマ文書流出事件とは
租税回避地への法人設立を代行するパナマの法律事務所、Mossack Fonseca〔モサック・フォンセカ〕の金融取引に関する過去40年分の内部文書が流出した事件。文書の量は約 2.6テラバイトあり、数十万のオフショア企業に関連しています。1150万の文書ファイルには480万の電子メール、100万の画像、210万のPDFが入ってたそうです。これは、過去最大級だったアメリカ外交公電流出事件、エドワードスノーデン氏のアメリカ国家安全保障局の個人情報流出事件と比べても比較にならないほど特大の規模です。
このパナマ文書ですが、この法律事務所がいかにしてクライアントのマネー・ローンダリング、課税や捜査の回避を助けたかを明らかにしているとの見解があります。
オフショア企業に資金を保有すること自体は違法ではありませんが、流出した同文書を入手したジャーナリストは、脱税やマネー・ロンダリング(資金洗浄)、制裁破りや麻薬取引、その他の犯罪に使われる隠し財産の証拠となり得るとみているようです。
とりわけ大きな問題は、EU加盟国の首相クラス、及びEUの銀行がこのリストに含まれていた事で、 これによりEUへの不信感が強まっています。特にここ最近の欧州では財政危機で緊縮財政と税率引き上げを行っていました。一般市民は福祉を削られ賃金も下がり、それでも何とか頑張って税金納めていましたが、その一方で、緊縮を唱え徴税の強化を叫んでいた政治家はみんな巨額の脱税をしていた可能性がある事になります。
各国政府は4日、各国指導者や著名人による脱税など不正取引がなかったか調査を開始しています。
モサック・フォンセカのウェブサイトはこちらです。
彼らはサイトのトップページに、メディアの一連の報道に関し、モサック・フォンセカの業務内容を誤解させるものであるとして公式に見解を出しています。
パナマ文書の流出経緯
流出経緯については諸説ありますが、ドイツの当局は2年前からモサック・フォンセカ法律事務所と犯罪組織のつながりに気づき、捜査を進めていたようです。 Suddeutsche Zeitungの記事によると、法律事務所の内部告発者が情報を当局に売り渡していた模様です。捜査の進展とともに複数のヨーロッパの銀行が罰金を課せられ、捜査情報は世界の当局と共有されることになりました。
リストに上がっている有名人
モサック・フォンセカのクライアントには政治家、セレブ、スポーツ選手、これまでもスキャンダルの 中心的存在と目されてきた組織などが多数含まれています。 パナマ・ペーパーズによって暴露された情報の中には、 ウラジミール・プーチンの10億ドルのオフショア資産、 アイスランドの首相が持つタックス・ヘイブンではないかとの疑惑に包まれた私企業、そして最近のスキャンダルの常連である国際的サッカー運営組織、 FIFAが含まれています。FIFAの場合、幹部は個人としてもミシェル・プラティニなどが文書中に登場します。
私たちに身近な所ではサッカー選手のリオネル・メッシ、俳優のジャッキー・チェンなど、やっぱりかと思う人からこんな人まで!という所まで幅広いです。
リストは随時こちらのWikipediaで公開されています。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/List_of_people_named_in_the_Panama_Papers
また、こちらのサイトでもリストに掲載されていた権力者をイラストで見ることが出来ます。
https://panamapapers.icij.org/the_power_players/
日本人は?
某警備会社のトップ、他にもヤクザ関連の方の名前があるとの事です。
また、日本の大手広告代理店などの名前が上がっているとの噂があり、これがパナマ文書流出事件が日本で大々的に報道されない理由のひとつであると言えそうです。
中国では報道規制
パナマ文書流出を受け、中国当局は報道規制をかけています。オンラインニュースの一部の記事を削除したり、バイドゥによる検索も制限しているようです。パナマ文書には中国トップのあの方の一族に関連したオフショア企業が入っているようです。中国政府からはパナマ文書について、公式な発表などはありません。
中国国営メディアにおいてもパナマ文書に関しての報道はほとんどありません。中国の検索エンジンで「パナマ」をサーチすると、この件に関する中国メディアの記事は出てくるものの多くのリンクは削除されているか、別の関連記事に飛ぶようにされています。
マーケットへの影響は?
今回のパナマ文書流出で、欧州を中心に世界中の政治家のスキャンダルが発覚しました。その為、投資家は欧州市場の混乱を予測し、急速に円が買われています。欧州株は軒並み値を下げるでしょう。
身近な所でいうと、外貨建てで積み立て投資をされている方は円高により積み立て金額が実質的に少なくなり、その面ではオトクと言えます。
長期的な影響については、正直な所分かりません。今後どのくらいの情報が明るみに出るのか、それによる各国の動きによって異なってくるでしょう。
オフショアは悪い事?
今回の報道は、「オフショア=脱税」という枠組みで語られている事は事実です。しかしながら、パナマに限らず、香港はもちろん、アンギラ、サモア、シェーシェルなどのオフショア地に法人を設立し、資産を移すこと自体に違法性はありません。
法人設立地の租税ルール、及び居住国の法律に基づき税務申告していれば何も問題ありません。
弊社のお客様でロイヤルロンドン(RL360°)、ハンサード、インベスターズトラスト、フレンズプロビデントなどの積み立て投資をやっている方は、オフショア地に資産を移しているという事になります。
例えば香港であれば投資で得た利益に税金はかかりませんが、日本ではその利益はきっちり確定申告する必要があります。逆にそれさえ行っていれば、海外投資をしているからと言って何もビクビクすることはありません。