3月中旬の下落から、今度は過去半世紀で最大の上げ幅を記録した金融市場。私どもですら、予想していない展開となった。とはいえ手前味噌ではあるがささくれ立つクライアントの神経をなだめ、むしろリスクテイクを促し、その結果現在の運用益、果実を享受していただくに至ったことは誇りたい。頭のなかでは「割安となった」と完全に信じられることでも、リスクに怯えるクライアントを鼓舞するのはなかなか大変で、弊社の仕事の半分はこの「クライアントに勇気を出していただく」ということに尽きるのではないか… なんて考えてしまう。 このような弊社の判断についてきてくださっているお客様方々、この場を借りてお礼を申し上げます。 さて、そんな上半期であったが下半期はどうなるのだろうか。数ヶ月前のジェットコースターが繰り返されるのか。それとも、このまま上げ調子で再び高値圏を目指すのか。あるいは別のシナリオか。 まずは、主だった経済事象を確認しておきたい。 |
失業率が大幅改善(17.4% → 11%)PMIも劇的に上昇連銀、欧州銀ともにゼロ金利政策、債券買取も継続中国も利下げ石油(ブレント)価格、40米ドルまで戻す |
これだけ眺めていると、コロナの新感染者数が一日何万人増えようとどってことないような気がする。というより、毎日あまりにも大きな数字を見ているせいで感覚がマヒしている。アメリカでの失業率も大幅に改善したものの、以前としてリーマン・ショック時に記録した10%を上回っている。今回は前回の金融危機とは違って政府・中央銀行の初動が素晴らしく良かったおかげで悪い事実が覆い隠されているといえよう。失業しそうな労働者は一時給付金で生活費をまかなえ、倒産しそうな中小企業は補助金で潤い、大企業は政府に債券を買ってもらえる。 |
金融市場が機能しない時代に 全世界的にモラトリアムな今の現状で、金融市場がかつて果たしていたプライシング機能、すなわち市場を通じて成長性のない企業から成長性のある企業への資本の再分配という機能は失われている。 前段でエラそうに「リスクテイク」について書いたが、このような時代に大事なのは企業価値の分析やマクロ経済の把握ではない。もちろん、日頃からマーケットを引き目で見ながら研究はしているものの、実際には「中央銀行といかに戦わないか」ということに尽きる。 金融市場の帰趨が中央銀行にかかっている昨今、中央銀行が利下げをするとなれば全力でリスク資産を買いにいかねばならない。自分の判断にどれだけ自信があろうとも、中央銀行の行動にはついていかなければならない。 利上げがされれば、ようやく業界分析や会社分析ができるようになるのだが、今回はそれはまだ当分先だろう。 2020年後半は 現在、全世界の感染者数は1300万人に届きそうな勢いだ。しかし仮にコロナ感染者が2,000万人となろうとも3月の波乱は繰り返されないと考える。なぜなら経済がすでに「新しい様式」に慣れつつあるということ、また中央銀行の量的緩和が際限なく行われるだろうからだ。 |
国家安全法について |
何人かのクライアントからお問い合わせいただいたので、この問題に触れないわけにはいかない。結論からいうと、私たちにもクライアントにも関係がない。 国家安全法は、国家の分裂国家の転覆テロ行為外国組織と結託し危害を加えることを組織だって実施したり、その活動に資金を与えたりすることだ。 なので問題は私どもIFAが、あるいはご自身がこれらの行為に加担するか否かということが問題となる。私たちがこれらの行為に加担することはあり得ない。 もしあなたが、香港の民主化のために立ち上がりデモを組織するというのであれば、国家安全法によって何らかの財産上の不都合をうけるかもしれない。しかしそうでないなら、この国家安全法は日本における破壊活動防止法とイコールだと考えている。ふつうの生活を送る市井の人々にとって意識することはない法律となるだろう。 |