「しばらく様子見」なんていう投資家はこの先も永久に勝てない
- ようやく買い場到来
- むしろ積立額増額、積立再開するべき
前回のメルマガでは「コロナウイルスのインパクト自体はそれほど大きくない」と書いた。しかし周知のとおり全世界同時株安が起き、私どもの見立ては間違っていたことになる。
ウイルスよりも速く「恐怖心」が人々の心の中に伝播してしまった。ダウは過去最高の下げ幅を記録した後、また2008年以来最高の上げ幅で週末を終えている。ネジが外れたようなこのボラティリティは「とっととポジションを手仕舞って様子見をしておこう」という気持ちが起こるのも無理はない。
しかし、株式市場はもともと高値圏にあると言い続けてきた。ようやく調整局面がやってきて、株式市場は高値から3割も安くなっている。今まで低金利&資産買取という中央銀行がおこなってきた「メッキ」が剥がれた瞬間でもある。
まさにこういうときのためにポートフォリオをやや保守的に運営してきた。そして「株式は高値圏である」と言い続けてきた。現在の水準は高値圏ではない。PERもこの調整局面でようやく平均的な水準に回帰しつつある。これまでは経済の実力を無視して株式市場がつり上がっていたのが普通に戻っただけだ。
なので個人投資家はここから買い向かっていくべきだ。しかも積立投資というドルコスト平均法がいきるやり方であれば一括投資よりも数段安心して買い向かっていける。もちろん、現在の水準はコロナウイルスの経済損失の影響を完全に織り込んでいるわけではない。ここから更に2-3割下がったとしても何ら不思議ではない。
だからこそ買い向かう。私どもはもう何度もこの光景を目の当たりにしている。個人投資家が負けるタイミングは決まってこういう場合なのだ。高値で買ったものが下落していくのに我慢できず、損切りをする。損切りをすること自体は間違っていないが、損切りをしたことによる精神的なショックが尾を引いて次の買いに走れない。「市場が落ち着いてから」「様子を見ながら」なんて言っているまに売ってしまった水準をはるかに超えてまた次の高値圏を目指していく。そうすると完全に買うタイミングを逸してしまう。
積立を継続している方ならこのタイミングで積立金の増額を、積立を停止していた方ならこのタイミングで再開を。人が恐怖している場面でこそ強欲になるべきだというウォーレン・バフェットの言葉が今ほど染み入る場面はない。
そして今後さらなるネガティブなニュースが飛び込んできても、手を緩めない。運用の時価総額は落ち続けていても「より多くのファンド口数を買えている」と納得し次の挽回のタイミングを気長に待つべきだ。弊社のお客様が数多く経験しているが、時価総額が急にパッと上昇するタイミングがある。それは今までコツコツと積み立てを継続してきたからにほかならない。真面目に運用していれば、必ず報われるときがくるのだ。
リーマンショックとは似て非なるもの
・景気回復型、イベント型、信用収縮型
・イベント型から信用収縮型にさせないために
株式相場の調整局面においては、大きくわけて3つのタイプがある。1つは景気回復型、2つめはイベント型、そして最後は信用収縮型だ。たとえば一昨年の12月、連銀が今後利上げを行うとして株式市場は10%以上落ち込んだ。これが1つ目の景気回復型だ。景気が回復する局面で金融政策を緩和から収縮にシフトする際に起こる。足元の経済は好調なので調整されたとしてもそこからまた上昇に転じる。2つ目のイベント型が今回のようなコロナウイルスや911同時テロのようなものだ。こちらも足元経済が好調である限りは調整局面は短命におわる。
そして最後がリーマンショックや1987-88年の日本のバブル崩壊である。リーマン・ブラザーズや山一證券などの金融機関が破綻することで信用収縮が起こる。これがもっとも深刻であるだけにもっとも尾を引く。
1つ目の景気回復型の調整局面の深刻度を1とするとイベント型は1-2、信用収縮型は5-10といったところか。今回、私どもがコロナウイルスの深刻度を甘く見積もっていたのは「イベント型調整局面は短命におわる」と考えていたからだ。
しかし景気の最終局面にあるような現在の状況での調整局面の発生はイベントがなくとも生きるか死ぬか瀬戸際にあった企業を死に追いやり連鎖倒産を招く。大企業は思ったような利回りで資金を調達できなくなり銀行は貸し渋り・貸し剥がしを行う。そうなると完全に信用収縮型の調整局面に突入する。
各国政府のタスクは今回のこの「イベント型」を「信用収縮型」にしてしまわないように大急ぎで金融政策・財政政策を動員するべきだが、G7の中でも利下げが可能なのはアメリカとカナダだけだし、減税は各国ともリーマンショック後に十分やってきたのでどこまで大きな手を打てるかはまだ分からない。
では仮に信用収縮型の調整局面になったとしたら? 結論は変わらない。買い向かう。むしろ値を下げてくれたほうがファンド口数をより多く買えるからむしろ好都合だ。