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お金に困ったら積み立てから一部引き出し出来る
投資家の皆様がIFAを通さなくても自分で各種手続きが出来るようになるようサポートするこのシリーズ。今回は第5回目、積み立ての一部引き出し(Partial Withdrawal)について解説します。
シリーズ全コンテンツとタイトルとリンクを以下に掲載します。
積み立ての一部引き出し(Partial Withdrawal)手続き
一部引き出しとは、その名の通り、今まで積み立ててきた金額の中から一部を現金として引き出すことです。資金の取り崩しと言ったりもします。
必要な手続き
・引き出し書類への記入、サイン、郵送
・パスポートコピー、住所証明
・送金先の銀行口座情報
手続き完了までの期間
・プロバイダーが書類を受領してからおよそ1ヶ月~1ヶ月半くらい。国際送金の場合、プロバイダーが送金してから3日~5日後の着金となる。
手続きにかかる費用
・解約手数料(引き出す金額に依存)
※解約手数料については解約の記事にて詳述します
注意事項
・一部引き出しには手数料がかかる場合があるので注意。多くの場合、初期約束口座からの引き出しは多額の手数料がかかる。貯蓄口座からの引き出しは手数料無料。
・その証券を最低限維持するだけの残高が通常設定されており、それ以下になるように引き出すことは出来ない。
例)ハンサードのアスパイアの場合、貯蓄口座は必ず1,000GBP以上を保持する必要がある。
一部引き出しの仕方は2種類
自分の必要な金額に応じて、引き出し方法は2種類あります。ひとつは、USD10,000など金額を指定する方法、もうひとつは、引き出せるお金をギリギリまで全額引き出す方法です。
金額を指定して引き出す
・自分が必要な金額が決まっていれば、金額を指定するのが良いでしょう。通貨は通常USD、HKD、JPYなど証券通貨に応じて選ぶことが出来ます。ただ、当たり前ですが時価評価額を超えた金額を引き出すことは出来ません。
ギリギリまで全額引き出す
・証券を解約せずに限界ギリギリまでお金を引き出す場合は、通常そのような引き出し方法を指定することが出来ます。この場合、初期約束口座には手を付けず、貯蓄口座から全額を引き出す場合がほとんどです。逆に、初期約束口座からも引き出そうとすると契約年数によって多額の手数料がかかります。
初期約束口座と貯蓄口座とは?
ここで、先程から何回か出てきている初期約束口座と貯蓄口座について簡単に説明します。
初期約束口座(Initial Account)とは?
通常、積み立て投資を契約する際、「最初の2年間は必ず支払ってください」という事を良く言われます。この2年間がいわゆる初期約束口座期間です。
具体的には、この契約時から約2年間のこの初期約束口座期間中は、積み立ての一時停止、減額、引き出しなどの操作が一切出来ません。商品プロバイダーにとっては、せっかく積み立てを20年や25年で契約してもらったのに、すぐに停止したり解約されると都合が悪いのは当然です。彼らは長期で積み立ててもらった資金を運用するのが仕事です。
その為、この期間中だけは必ず積み立てを続けるというのが契約に織り込まれます。仮にこれを破ると、契約は強制解約となり、今まで積み立てた金額が全額没収されますので気をつけてください。
余談ですが、これに関してはIFAによる違いはなく、商品プロバイダーによるルールですので必ずそうなります。ですので、上記事実を持ってそのIFAが詐欺だとか言うのは間違っていますのであしからず。もちろん、IFAから別途違約金等を請求された場合は、商品プロバイダーではなく、IFAとのIFA契約に準ずるものと思われます。通常、正規のライセンスを持ったIFAであればこのような料金は発生しませんので、おかしいなと思ったらご相談下さいね。
兎にも角にも、この初期約束口座期間は重要です。この最初の期間にはボーナスがつくことも多いですし、この期間にしっかり積み立てる事がまずは第1歩と言えるでしょう。
貯蓄口座(Accumulation Account)とは?
初期約束口座への積み立てが終わった後に積み立てる口座の事です。初期約束口座とは別に管理されます。
初期約束口座と貯蓄口座では、主に手数料に違いがあります。一般的に、貯蓄口座の方が手数料が安く設定されています。その為、貯蓄口座に積み立てを多くすればする程、相対的に手数料は安くなっていきます。つまり、初期口座に毎月USD5,000積み立てて、貯蓄口座になったらUSD300にするなどいう行為は愚の骨頂と言えます。そんな事をするくらいなら、最初からUSD1,000で25年続けていった方がマシです。
一部引き出しにはパスポートと住所証明が必須
一部引き出しという名前に少し誤魔化されそうになりますが、これは証券の一部を解約するという行為ですので、書類1枚というわけにはいきません。改めて証券名義人のパスポートと住所証明を求められる事がほとんどです。
その際に、パスポートが変わっていたり住所が変わっていたりすると同時にその変更もしなけければいけませんので気をつけましょう。
受け取りは世界中の銀行でOK
お金を引き出す際は、受け取り先を指定する必要があります。これは現金や小切手で受け取ることは出来ず、必ず銀行口座への送金となります。主に以下の3パターンがあると思います。
HSBCなどの香港の銀行で受け取る
HSBC銀行口座をこの為に作る人もいるようですが、HSBCであれば当然何の問題も無く受け取ることが出来ます。恒生銀行や中国銀行などの他の中国系銀行でももちろん大丈夫です。
みずほ銀行などの日本の銀行で受け取る
日本の銀行でも当然受け取りが可能です。ただひとつの条件としては、国際送金をする際に必要なSWIFTコードを持っている銀行である事です。SWIFTコードはメジャーな銀行であれば必ずありますので、地銀等でもだいたいOKですが、地方の信用金庫等では無いことがありますのでお気をつけ下さい。
その他海外の銀行で受け取る
これも日本の銀行で受け取るのと同様、SWIFTコードがある銀行であれば受け取り出来ます。世界中のシティバンク、HSBC、スイス銀行などなど、海外のどローカルの銀行でもない限りほぼ大丈夫です。
オフショア投資にHSBC口座は必須ではない
これも少し余談ですが、上記受け取り銀行の事を考えると、オフショア投資をする時に必ずしもHSBCの口座を開く必要がない事が分かると思います。詳細は以下の記事で解説しておりますのでご参考に。
香港の銀行口座を開設するのは今じゃなくていい
一部引き出しのメリットとデメリット
便利な一部引き出しですがそのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
一部引き出しのメリットは急な資金需要への対応
20年後、30年後の資金需要に備えて始めた積み立てでも、その途中で急な病気になったり事故が起こったり、子供の養育費がかさんだりといった色々な出来事が起こります。そんな時にどうしてもお金が足りない場合、一部引き出しを選択しましょう。
一部引き出しのデメリットはライフプランの見直し
デメリットは、やはり当初のライフプランが崩れることです。老後資金の為、養育費の為などで目的を持って積み立てをしてきた方には苦渋の選択ですが、一部引き出しをしたら、そこでもう一度将来の資金需要について見なおさなければなりません。積み立てを継続しながら、お金が無くなる度にちょこちょこ引き出しながらやりくりする人がたまにいますが、手数料がとられるだけで全く無意味な行為です。そんな事をするくらいならただHSBCに預金しておけばいいのです。短期の定期預金を繰り返せば少しずつ額は増えていきます。