前回のブログでは、投資の世界の流行について、歴史を追いながら解説しました。投資にはいつでも流行が存在し、必ず多くの人が失敗します。それは値段が上がってから投資するからです。ではなぜそうなってしまうのでしょうか?
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値段が上がってから流行に投資するのはなぜ?
多くの人が、値段が上がってからその流行に投資をしてしまいます。その理由は簡単です。例えばインターネット関連銘柄で言うと、1994年時点では、そのような銘柄なんて誰も聞いたこともなかったので、投資することもなかったというわけです。値段が3倍に上昇した後の1998年時点ではじめて、インターネット関連銘柄が夜のニュースや雑誌の表紙を飾るようになりました。
不動産ブームでも同じように、2000年時点ではニュースに取り上げられていませんでした。話題に登るようになったのは2004年になってからの事です。その時点では既にかなり値段があがった後だったのです。
つまり、流行への投資は値段が上がっていることを耳にしてから始められるため、既に値段が上がりきった状態で買うことになるというわけです。
これも「高い値段で買って安い値段で売る」ことの例であるわけですが、流行への投資で成功したいと考えるなら、そうした噂やニュースを耳にする前に買っておくしかないという事になります。これで流行の追っかけを続ける理由はないと思います。
言い換えれば、流行への投資ではお金は儲かりません。一般の人がそれを耳にするまでに値段は上がりきってしまっているので、買うには遅すぎるからです。要するに、流行への投資というのはうまい投資戦略ではないという事です。
金融メディアを信じるものは救われない
メデイアはたくさんの投資アドバイスをしてくれます。しかし、それらのアドバイスを信じても投資で成功するわけではありません。例えば、1996年3月11日のUS News & World Reportでは、表紙に「投資家への警告」というタイトルがつけられていました。
これは、株式市場が長い間上がり続けたため、「落日の上昇相場」を心配して、投資家に警戒するよう呼びかけたものでした。しかし、そうした警句に従うべきだったかのかは大いに疑問です。というのも、実際は、その時点から年末までの間に、ダウ平均は17.5%も上昇しましたし、1997年には27%もの上昇を続け、1998年にはまた25%上昇。更に1998年には18%の上昇となったのです。
いますぐに株を売りなさい
1997年8月のMoney誌では、「そこに腰掛けている場合じゃありません。いますぐに株を売りなさい」という特集がありました。でも、こんな特集を真に受けていたら大変なことになっていました。というのも、当時のダウ平均株価は7,694ドルだったのですが、そこから2年以上にわたって平均株価は上昇を続けたのです。
さらに別の例では、1998年9月28日のFortune誌です。ここでは「1998年、株式市場の大暴落」という予告を表紙に載せていました。Moneyが上記のように喚き立てた後で、今度はFortuneでも「株式を売りなさい」というアドバイスをしていたわけですが、このFortuneの予言はもちろん間違いでした。1998年にも1999年にも株式市場の大暴落が起こるどころか株価は上昇を続けていきました。
そして2000年3月いなると、ようやく株価は下がり始めました。そこから2年半の間、株式市場の下降局面は続きます。こうして2002年10月2日までには、ダウ平均株価は45%も下落していました。
2002年10月2日のUSA TODAY紙のマネー欄の1面には「株価の底値はどこなのか?(日々繰り返される株価の下落に、終わりの見通しは立たない)」という記事が載りました。しかし、皮肉なことにUSA TODAYがそんな特集を掲載したその日に、株価が底値をつけたのです。
金融メディアを信じれば損をする
このように、金融メディアはいつの時代でも過ちを犯しています。こうした例はいくらでもありますが、学術的な研究によれば「メディアの推奨に従った投資家は、6ヶ月以内に平均で3.8%の損をすることになった」そうです。
このように、メディアの投資アドバイスに従うのが成功する戦略ではないことはハッキリしています。それにも関わらず、アドバイスを読んだり、聞いたり、見たりする人が数百万人もいるのですから、殆どの方がこんな事実を知らないという事になります。