- この株価のラリーは異常
- 運用アドバイスに盲目的に従うべきでない
ラリーは続かない、がメインシナリオ
先月のポートフォリオ変更から、株式市場は一気に20%も上昇した。もし弊社のポートフォリオに沿った運用をしてくださっていたとすると、この株価上昇の恩恵を受けられたのではないか。資産運用において一喜一憂してはならないが、リスクテイクするときは勇気がいる。少しでもその勇気が報われたと感じていただけるなら、資産運用のアドバイスを行うものとしては、クライアントが弊社のアドバイスにしたがって決断してくださったことに大きな喜びを感じる。
しかし株価が一気に上昇したことで、今度は別の心配をしなければならなくなった。それは
「この上昇は一過性のものか、それとも持続可能なのか」
ということだ。残念ながら、私どもの考えるメインシナリオは「一過性のもの」という判断だ。すなわち株価がすぐにV字で2月の最高値に戻るとは考えにくい、という意味だ。理由はいくつかある。
- マーケットはコロナの影響をすべて読み込んでいるとは思えない
- 単に下落したから買うという機械的な投機、あるいは年金基金などの超大口投資家の典型的なポートフォリオである株式:債券=60:40のリバランスにかかり、上向いたところを他の投資家が追従したのではないか
- 中央銀行がいくら金利を下げたとしても、需要がない以上は企業は単に急場しのぎの資金繰りしかできず、返済見込みは立ちづらいこと
- それが1-3年の間に銀行のバランスシートを毀損し、弱小銀行から倒産していき信用不安が広がるだろう
- 中央銀行の裁量はすでに限られている。利下げはもう限界だし、量的緩和を永遠に続けていくわけにはいかない
- 今回のコロナウイルスは先般のリーマン・ショックと異なり、金融システムの膿を出し切れば解決するといった類のものではない
ただ、数週間前のただただ売りが押し寄せるぶっ壊れた状態のマーケットからは現在は回復し平静を取り戻し、ようやく値付けが行われる通常のマーケット機能が戻っていると感じている(その値が適正かどうかは別として)。
したがってマーケットは一瞬戻ったように感じるが、これから怒涛の決算が発表されコロナの真の影響を知ることになる。ボーイングなど大企業には公的資金の注入も検討され始めている。公的資金の注入の前には金融機関への債務軽減要請がいくはずだから、コロナショックで立ち行かなくなっている企業に多く貸し込んでいる金融機関は、これから厳しくなる。
リーマン・ショックでは金融システムのダメージが実体経済に影響を及ぼしたが、今回は逆の流れになることが予想される。
アドバイスを聞くか聞かないか、も含めてご相談を
前回のメルマガでは「様子見ではこの先もずっと資産運用で負け続ける」といった主旨のことを書いたが、弊社にサービス料を払ってくださっている方の全員がポートフォリオを変更したわけではなく、やはり様子見をされた方はいらっしゃる。様子見が悪いと言っているわけでは、もちろんない。運用資金はクライアントのものであって弊社のものではない。どのようにリスクを取るのかは最終的には投資金の所有者たるお客様のご判断にお任せするしかないし、また様々な状況のなかで積極的な運用ができない場合もあることかと思う。
たとえば弊社のクライアントでオフィス街で居酒屋を経営してらっしゃる方がいるが、このご時世で閑古鳥が鳴いておりとてもじゃないけれどポートフォリオ変更どころか、運用自体継続できそうにない、とおっしゃる方がいた。本当にお気の毒だが、今すぐサービスを停止し高い手数料覚悟で解約して手許現金を確保したほうがいいのでは、とアドバイス差し上げた。
資産運用は運用者本人 の考えや状況を捨象しては行えない。リスクを取るタイミングだからと私どもや他の誰かに言われたからといって、盲目的に追従するべきではない。「自分の資産状況はこういう感じなんだけど、果たして今リスクを取りにいくべきかどうか」みたいな相談はサービスをお申し込み頂いている方には随時提供しているので、ぜひご相談いただきたい。