米中貿易戦争の緊張がいくぶん和らいだこと、米連銀が大方の予想通り0.25%の利下げを実行したこともあって10月は9月と比較して主要証券市場において2-3%前後の上昇となった。とはいえ米中貿易戦争は解決への道筋がいまだ不透明なこともあって株価の上値は重い。また連銀のパウエル議長は「現在の金利水準が望ましく、景気が明らかに悪化したと見られる兆候がない限りこれ以上金利を下げない」旨発言しており、少なくとも年内の追加利下げはないとみてよい。
とはいえ実体経済のほうは引き続き芳しく状況が続いている。アメリカは第三四半期の成長率は1.9%、2019年年間通してでは2%を下回るだろう。そして2020年ではさらに落ち込み、1.5%前後の水準になると予想する。さらに中国は、昨日14日の速報では2020年の成長率がついに6%を切ることが報道されリーマン・ショック以降の世界経済の両輪を失うこととなる。
そして日本は消費税増税の痛みがじわじわと効き始めるころだから、もともと1%前後であった成長率が0%前半台になることも避けられないだろう。株式市場が好調なことが唯一の救いではあるが、先行きは暗い。
(アメリカ、ヨーロッパと好調が続く。新興諸国と日本はやや出遅れ)

一度落ちて、また戻る
では、どれくらいこの状態がつづくのか。
答えは分からない。3ヶ月間かもしれないし3年間かもしれない。しかし、一つわかっているのは私たちはいま景気サイクルの最後のほうにいるが、最終段階では景況感はもっと悪くなり多くの企業が倒産し、経済は再生を迎えるということだ。来年2020年を終えるころから景況感はますます悪くなってくるだろう。そうなると景気サイクルの最後のほうである。株価は落ち、失業者が上昇し、世相が悪くなる。そこまでくると、次の再生への芽がいぶきはじめる。
このサイクルは資本主義が人々の欲望を源泉としてドライブする限りなくならないと思う。人は100万円稼ぐと次は1,000万円、1億円と無限に欲し続けるものだからだ。
ポートフォリオ
スタンスは先月から変更はない。景気減速の速度を見ながら、もし経済のカタストロフが早めに来るようなことがあれば保守的なポートフォリオを組む。現状、まだまだそのカタストロフには程遠い。