年明けから憂鬱なニュースが続いている。しかし日経平均は年初から2,000円以上上昇し35,000円を突破。1989年暮れにつけた過去最高の38,957円を超えていくか、なんて景気の良い話もある。 実際のところ海外投資家はどうみているのか、ということだが確かに円安や賃上げでポジティブなニュースが続いていること、そして米国が高いインフレのせいで景気の先行きが不透明になっていることから考えると米国市場で利確したものを日本に振り向けてみようというのはわかる。ウォーレン・バフェットも低PBRの商社をしこたま買い込んでいる。日本の上場会社の20%は過去最高益を叩き出しており、賃上げムードは当面続くだろう。 さて海外の投資家は日本の何をみているか。「海外の投資家が日本の勤勉さを再確認したのだ、東南アジアに奪われていたお株をようやく取り戻す日が近い」みたいな話では残念ながらない。 それは日銀の動きだ。日銀が金融政策をいつ正常化するのか、を見ている。ご存知のとおり日本はデフレが続き1年半前からインフレが2%以上という状態がようやく達成できた。ただしそれは黒田前総裁の努力の賜物ではなくコロナとロシア・ウクライナ戦争という2つの厄災でロジスティクが分断された上にサプライが途絶えたからだ。 日銀は3つの方法を有している。1つ目は政策金利の上げ下げ、2つ目はイールドカーブコントロール(YCC)、最後は金融緩和・縮小だ。政策金利は「参考水準」として0.5%から1%とし、現在10年国債のイールドが1%を少し上回る状態となっており、ペースは緩まったが国債の買入は続きバランスシートは膨張を続けている。 なぜ日銀のこの金融政策が正常化に向かうことを海外投資家は期待しているかというと、仮に次の大きな景気後退が訪れたときのバッファとなるからだ。アメリカの金融政策もインフレと戦う、という以上にこの「バッファを持っておく」という意味あいが大きい。低金利にあまりにも慣らされすぎると低金利クセがついてしまい市場の均衡を崩し、中央銀行頼みのマインドになってしまう。恒久的低金利政策は単純に数字の話、というより経済マインドを破壊しかねない。 日本が「ふつうの国になるかも」という期待があるからの日本買いなのだ。日銀は早ければ4月25日の会合で金利をさらに引きあげ、緩和政策から緊縮に向かうことを示唆している。春闘での賃上げが一つのキーになってくるだろうが、その動きで日銀の金融政策がようやく正常化に向かうかが決まるだろう。 今は海外投資家の目線はそれに向かっている。日本が金利のある国になれば、力のない企業(金利の返済できない企業)は淘汰され新しい事業機会が生まれる。またマイナス金利で苦しめられている金融機関もまた日の目をみるだろう。その代わり、シリコンバレー銀行のような日本の信金など地方金融はイールドカーブの逆転で倒れていく。 日銀の金利引き上げはそういったガラガラポンを引き起こす可能性があり、それに海外投資家は注目しているのだ。 |
【ポートフォリオ】 |
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