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契約年数はとりあえず25年で、というのは大間違い
日本で生命保険を契約する時、自分のリタイア年齢に合わせて契約年数を考えると思います。
その場にはしっかりとしたライフプランナーがついている場合がほとんどです。
しかし、なぜかオフショア投資、海外積み立て投資となった途端、最長年数で契約してしまう人が続出します。
「契約年数はとりあえず全員25年で」
紹介者や代理店からセミナーでこう言われました、という話をよく聞きますが、とんでもない言葉ですね。
既に長期で契約してしまったものは仕方ありません。
しかしすでに契約してしまったのであれば、海外投資の契約年数とライフプランをすりあわせ対応を練りどうやってソフトランディング(軟着陸)させるかを検討する必要があります。
※ソフトランディング、ハードランディングという言葉は”ランディング(着陸)”というワードが示唆するように飛行機で使われます。ハードランディングは着陸失敗、墜落などをあらわし、その逆にソフトランディングは衝撃を和らげ着陸を成功させることを指します。
ここでは、いくつか代表的なパターンを検討してみます。
販売手数料、そしてボーナス狙いという幻想
積立投資の場合、加入時に契約年数を決めます。
商品によっては最短で5年、最長で30年のものもあります。
そもそも契約年数はご自身のライフプランに応じて決定するはずです。
ライフプランとは、ご自身の人生計画、収入支出計画です。
この収入支出計画の3大イベントは自宅購入、子供の教育費、退職です。
ライフプランを練るということは、これら節目の大きな支出に対してどう備えるかということにほかなりません。
海外投資でよくあるのが、ご自身のリタイアまでを契約年数とすることです。
たとえば現在47才で、60才で退職されるのであれ退職までの13年間を契約年数とします。
退職後は通常収入がなくなるため積立の原資がありませんし、子供に残したいというのでもない限り積立を継続する理由もありません。
しかし、こと海外積立投資においては契約年数は必要以上に長く設定されることが多いのです。
理由は2つあります。
①IFA、代理店の販売手数料がふえる
②ボーナス狙い
この2つです。
契約が長いほど代理店や紹介者の報酬は増える
たとえばリタイアしてから収入がなくなることが明らかなのに積立を継続することは合理的ではありません。
投資はリタイア後=老後に備えて行うものでありますし、投資した資金を回収する必要があるのがまさにこのタイミングだからです。
しかし、①多額の手数料狙いで不真面目なIFAやライフプランについて無理解な代理店は 必要以上の契約年数を勧めてきます。
たとえば10年契約と20年契約では受け取る販売手数料は2倍違います。
多額の販売手数料を受け取るために手練手管を用います。
よく寄せられるのが“契約年数を長くすれば時間リスクが分散されて儲かる確率は高まる”、“複利の効果で爆発的に増え る”、”初期ボーナスがたくさんもらえる”というものです。
どの理由も一面の真実のみをとらえてはいますが、圧倒的に説明不足です。
初期ボーナスは手数料で相殺される
特に初期ボーナスというのは曲者です。
②初期ボーナスというのは、積立年数に応じて最初の1-3年の初期積立額に追加されるボー ナスのことです。
たとえば、10年契約の場合はUSD1,000の積立額に対してUSD100がボーナスとして追加され、USD1,100が投資金となりますが、それが20年の場合はボーナスがUSD200となる、といったようなものです。
直感的に、積立額の10%、20%とボーナスをもらえるのであればこんな美味しい話はないと思うでしょう。
しかしこれはプロバイダーのマーケティング戦略です。初期口座は手数料の高い口座ですから、長い目でみると高いボーナスもその重い手数料と相殺されてしまうのです。
商品の設計をする数理計算者(アクチュアリー)はマーケティング目的のためにこのボーナスを強調し商品を設計しているのです。
ボーナスがたくさんもらえるから長期契約をする、という方は非常に多いですが、私たちが下した結論は、”ボーナス狙いの契約は無意味どころか有害”だということです。
それは、無理をして長期契約をしてしまった方の多くが数年で積立停止、解約してしまうからです。
それでは、そのように途中解約してしまった人はどうなってしまうのか、次の記事で解説します。