「なぜこんな景気が悪いのに、株式市場は最高値を更新しているのでしょう?」 特に事業者の投資家の方からこういった質問が寄せられることが多い。ご自身の商売が絶好調であればともかく閑古鳥が鳴いている場合、金融市場で起きていることと現実とがあまりにも乖離しているためこういった疑問を持たれるようだ。 「カネ余り、とよく言われていますが私たちのところには一向に余ったカネが落ちてきません」 これも同じく素朴な疑問のようだ。以上の2つの質問に対する答えは 「世界中が低金利なので、投資家は買うものが見当たらずに少しでも儲かりそうなところに大挙して押し寄せるからです。低金利や財政政策によって溢れ出したカネは企業や個人にまで循環せず、金融市場で滞留し消費に回らないので株価が上昇しているのに景気がよくなる実感がないのです」 ということになる。 低金利は様々な意味で国民を疲弊させる。まず、金融市場を通じて持てる者と持たざる者の格差が開く。階級が固定された流動化のない社会ではダイナミクスが失われて国の成長が鈍化する。また低金利で資産が増えない状況においては市井の人々までも資産運用に駆り出される。もし日本国内で定期預金で5%の金利がつくとすれば、おそらく海外積立投資もこれほどまでにポピュラーにはならなかっただろうし、私どものような仕事も存在しなかっただろう。 かつてコンサルタントの大前研一が「景気が良くなってから預金金利を上げるのではなくて、景気が悪いときこそ金利をあげ、金融の知識がなかったとしても資産が増えていくことを実感させ将来に希望をもたせる必要がある」と言っていたがけだし名言だと思う。もし定期預金で5%の利息がついていたなら「どの金融商品を買えばいいか」「それを誰にお願いするのか」こういったことを考える人はずいぶんと少なくなるだろう。しかもその時間をより生産的なことに充当できる。 低金利のおかげで商売が成立している私どもですら、行き過ぎた低金利は害悪だと思っている。しかし泣きごとを言っても始まらないのでやはり自衛するためには最低限のファイナンシャル・リテラシーを身に着けて私たちのようなアドバイス業者とうまくつきあっていくほかない。 |
ポートフォリオ |
2021年は相変わらず低金利・高ボラティリティの1年になると予想する。 連銀は少なくとも2023年までは低金利政策を続けると明言していることから、ヨーロッパや日本もそれに続くことになるだろう。バイデンが就任することでのご祝儀相場が一服した後、コロナによる経済への打撃がいよいよ現実のものとなってくるため企業決算は軒並み総崩れとなりそれが株価に反映される。またズルズルと下げて中央銀行による追加の緩和措置の発動を市場が催促する… という展開を予想する。 この点についてはマーケットに関わる人間の誰に聞いてもあまり変わることはないと思う。またポートフォリオは今年3月からの低金利によって完全にリスクオン姿勢となっているが、ここはアドバイス業者の好みの問題、またそのアドバイスが好きかどうかというクライアントの好みの問題でもある。 弊社は来年以降もしばらくは強気姿勢となる。今日時点で頭にあるシナリオは ◯現在の株価水準から+15%以上上昇 → 高すぎる。リスクオフ姿勢。 ◯現在の株価水準から+5-10%上昇 → メインシナリオ。当分の間同じリスクオン姿勢をとる。 ◯現在の株価水準から-5% – 5% → 期待したより下振れだが大勢には影響なくリスクオン姿勢。 ◯現在の株価水準から-5%以上下落 → 下げのスピードにもよるが、クラッシュ気味であればいったんリスクオフ姿勢。 もしポートフォリオなどについて質問がある方はぜひ弊社に問い合わせていただきたい。 |