地味なニュースではあるが、米連銀がこのような発表をした。 |
中長期的に2%の物価目標を達成し、短期的には3%以上のインフレを認めることもある |
これは私どもがが知る限り、連銀の初の宣言だ。連銀の役割はおもに2つあって、1.物価の安定そして2.雇用の安定である。連銀が金利を下げたり量的緩和をする背景には1.物価の安定があり、その達成によって2.雇用の安定を維持する、というものがある。 そして物価の安定は米連銀に限らずどの中央銀行も「2%」という目標をか掲げている。なぜ2%かというと、少なすぎてもデフレになってしまうのではないかという心配がつきまとい、多すぎてもインフレが度を超えると国民生活が疲弊するのではないかという心配がつきまとうからだ。0.5%でもダメで4%でもダメということで2%。 連銀はこの10年、2%を達成できていない。いや正確にはこの10年で通年では5度も達成したのだが連銀が思い描く2%達成ではない。連銀は2%を中心として1.7-2.3%くらいに収まってほしいと考えているフシがあるが、実際には1%を切る年もある。 連銀としてはこの状態を好ましいと思ってはおらず、またコロナで落ち込んだ景気に対する強いメッセージを繰り出す意味でオーバーシュート、すなわち3%以上のインフレを認めるという発言をしたのだろう。 では実際に、これだけ需要が急減しているなかで3%のインフレが起きるのか。実感からいうと、米中貿易戦争や地域紛争など別の要因でインフレとなる可能性はあるだろう。しかしそれは需要が主導するタイプの健全なインフレではない。むしろ不況下のインフレという最悪なパターンになる可能性が高いのではないか。 オーバーシュートを認めるくらいだから、インフレに対して緩和的な政策が続く。緩和的な政策が続けば、株式や債券などの資産価格も上昇しやすい下地は続く。 |
テックバブル |
NASDAQが急落したことをうけて、クライアントからの問い合わせをいくつか頂いた。高すぎるNASDAQが引き金となって、今後相場全体の調整局面に入るかリモートワーク関連銘柄もそろそろ売り時かどちらもNOと答える。たしかにNASDAQはGAFA中心に高値圏を推移している。大きく後退した3月中旬の水準からたかだか半年足らずで70%も上昇していたのでやや危機感が高まっていたのはそのとおりだろう。その中での反動という解釈なので、これから何十%も株価が下落する局面はなかなか考えられない。 バブルの崩壊は、思った以上に遅くやってくるのが歴史が教えるところ。頭の良い人は早く売りすぎる傾向がある。バブルを長引かせるのは「Damn Money(アホな個人投資家、ウォール街では機関投資家、Smart Moneyと区別して使われる)」なのだ。 |
ポートフォリオ |
3月からのリスクテイクの流れを変更するものではない。クライアントの皆様には、先週のような小さな騰落に驚かずリスクテイクを続けていただきたいと考えている。 |