ボラティリティが高まっている。パニック売りとまではいかないまでも、コロナで市場が混乱した2020年3月を少し弱めたようなな売り方だ。「まだ落ちるか」という繰り返し。連銀の大幅な利上げ予測と、コロナの稼ぎ頭であったIT関連銘柄の利益の頭打ちが拍車をかけた。 しかし噂で売って事実で買え、とはよくいったものだ。連銀が0.75%という近年例を見ない利上げ幅に踏み切ろうとする噂が広がり株価の下落を演出したとおもえば、「どうも0.75%は確からしい」とその噂が事実になると15日現在は売り圧力は緩和され少し値を戻す局面も見られた 今後は8%台というインフレが続くわけではないだろうが、0.5、場合によっては0.75のような幅で利上げをしていくことが考えられる。問題は、このインフレが景気が加熱しているために起こっているわけではなくオイルや穀物などの供給が絞られて起こっているインフレであるため仮に利上げをしたとしても即効性がないばかりか個人や企業の可処分所得を圧迫する。 インフレファイターとされたポール・ボルカーも同じ状況にあって、何がなんでもインフレを封じ込める姿勢を示したことで景気後退を経た後に経済は安定した。問題はこれと同じことをパウエル議長ができるかどうか、である。先月このメールでは「連銀は3%を超えて利上げをするか」ということだが、この1ヶ月でほぼそれが確実となった。 思えば1年前まではインフレ率があがらないことに苦しんでいて、「連銀が何をしてもインフレにはならない」という変な自信が投資家にはあった。それが今では連銀の一挙手一投足に投資家が震えている。通常、金融政策が市場を壊すほど大胆な行動をすることはほとんどないが、今現在は市場を壊してもいいほどインフレを封じ込めなければいけない場面なのだろう。 この0.75%という動きは連銀がインフレ退治に強気である、との決意の現れとみてとれる。すなわち今後もインフレが続く限りは金融市場の騰落は当分続くだろう。ボラティリティとは騰落であり、上昇も下落も含むもの。株式市場だけでなく債券市場も不穏な動きをしており、今回のFOMCを終えたところでこの不安定さは変わらない。 |
世界の中央銀行も追随する
ちなみにアメリカだけでなくインフレは世界中の現象だ。ドイツでは8%、フランスでは6%と軒並み高い。これはすなわち、各国中央銀行が米連銀の動きに追随するだろう。リーマンショックから15年続いた過剰流動性相場の終わりの始まりである |
ポートフォリオ
金融市場のこのジェットコースターのような騰落(ボラティリティ)に直面したとき、おおよその投資家の反応はこのような感じだ。 「積み立てを頑張ってきたわりには増えないし、積み立てを停止してしまおうかなぁ」 心情的にはよく理解はできる。投資家にとって大事なのは利回りであって最終的な手取りがどれくらいあるかだ。わざわざ高いボラティリティに耐えてまで海外投資しているのなら、それなりの見返りを求めるのは当然だ。増えないのであれば日本国内の定期預金にでもしておいたほうがおよほど精神の安定が得られる。 ちなみに、ボラティリティに耐えられないのではなく耐えてはいけない場合もある。それは、この投資金を今年、来年中に引き出すことを考えている投資家だ。このボラティリティはこれから3年、5年と投資を続けていく人のためにある。 このボラティリティに耐えられないというよりは耐えるべきではない方はリスク許容度を下げながらランディングをしていく必要がある。 |
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