香港のCAが金塊を日本に密輸して逮捕されたことがニュースになっています。
日本に金塊を密輸か、香港のCAが東京の空港で捕まる―香港メディア
今も昔も後を絶たないこのケース、2015年12月には金塊112キロ(4億8千万円相当)を密輸しようとして、警視庁と沖縄県警、沖縄地区税関が指定暴力団稲川会系組幹部ら6人を関税法違反(無許可輸入未遂)などの疑いで逮捕したというニュースもありました。この時はマカオから華空港にプライベートジェットで密輸するという大胆な作戦だったようですがあえなく税関で発見されました。
なぜ金塊密輸が横行するのか
これは一言で言うと“消費税分の儲けを目的としています。世界的には、現金⇔金の取引に対して非課税が普通で、国内販売に消費税をかけるのは日本・韓国・インドなど一部の国だけとなっています。
非課税である海外諸国で金を購入し、そのまま持ち込んで日本国内で売却すると、国内業者は「金の価格+消費税」の価格で買取を行なうことになるため、消費税分が儲かる事になります。(ちなみに金の価格はコモディティ市場で統一されており、世界中で同一価格です)
日本税関では、もちろんこんな事が起きないように持ち込まれる金地金に対して消費税を徴収しているわけです。一方で、この課税を逃れて丸儲けをたくらんだ金塊密輸はいつでも起こっています。
金の地金(純度90%以上)の重量が1kgを超える場合は、輸出or輸入のどちらでも、事前に税関への申告が必要となります。
また、1kgに満たない場合でも、お土産ほかの物品と合わせて「免税範囲20万円」を超える金の地金(純度・重量は問わない)を携帯して輸入する場合は、携帯品・別送品申告書に記入のうえ、消費税が課税されることになります。
参考 現金等の持出し(持込み)
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/keitaibetsuso/7305_jr.htm
20万円以内の金地金輸入は合法?
それでは、20万円以内で金地金を携帯輸入する場合は、合法的に免税されるのか、というとその通りです。海外で金地金を20万円購入し、税関で申告した場合、免税範囲内なので、消費税はかからず合法的に免税通過できます。そしてこの20万円の金地金を国内の貴金属店で売却すると「20万円+消費税」で買い取ってくれるので、合法的に消費税分が儲けとなります。
金の取引価格が購入時と変わらなかったと仮定した場合、今は消費税が8%なので、20万×8%=1万6000円分が利益となります。将来、消費税が上がればこの金額はさらに大きくなります。ただ、他のおみやげ物品との総額が20万円を超えた場合には、課税されます。
注意点として、総額20万円以内であれば、申告せずに金地金を携帯輸入できると言うわけではありません。免税範囲であろうとなかろうと、1点1万円を超える購入品については携帯品・別送品申告書に記入・申告するという規則もありますので間違えないようにして下さい。免税を受けられる20万円以内でも、海外から金地金を携帯輸入すると言う事実は申告する必要があります。
※記入しないままで金地金の携帯輸入が発覚した場合は、他にも持込みを疑われて入念に検査され、長い時間拘束されると考えられます。
【補足】
免税範囲(20万円)を超える場合、金地金に対する課税は以下のようになります。
地金1個で免税範囲を超えてしまう場合 ⇒ 全額に対して課税されます。
地金が複数個で、15万円・19万円・25万円といった場合 ⇒ 免税範囲内MAXとなる金地金(この例では19万)が免税、残り(15万と25万)については課税されます。