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香港には地震が無い?
突然の熊本の大地震には本当に驚きました。香港に住んでいる私たちとしては、人々の無事を祈ることと募金をすることくらいしか出来ないのですが、これをきっかけに香港の地震について簡単に調べたことを書いてみようと思います。
まず、地震が全く無いと思われている事も多い香港ですが、香港天文台の記録によると1979年の観測依頼、体感する地震は69回起きています。
こちらのサイトからその一覧を見ることが出来ます。
http://www.hko.gov.hk/gts/equake/79felt_e.htm
意外と多いなと思われたかもしれませんが、実際はM6以上の比較的大きな地震は台湾や中国内陸の四川省など遠隔地ばかりです。台風への備えは市民の間で浸透していますが、地震に対する認識はそれほどではないというのが現状のようです。
最近の香港の大きな地震は?
ここ最近で大きな地震と言うと、2012年2月16日、午前2時34分(日本時間同3時34分)に広東省東部の河源市でマグニチュード(M)4.8の地震があったようです。
香港では昨今、地震に対する関心が高まっています。理由は2011年、「震源地、香港」という英文の小説が出版された事によります。筆者で地質学の専門家、イアン・マクフィートスミス氏は「地震からは安全だと自然に思い込んでいるようで、政府の備えは十分とはいえない」と警告しています。
香港政府の保安局の見解としては、「一連の緊急対応策を用意している。ホームページに載せている」(広報担当者)との事です。
香港のビルは大丈夫?
一目見るだけで高層ビルだらけの香港、中には地震が無くても倒壊しそうに見えるものが多いのも確かです。香港に関わりのある人はこんなビルばかりで大丈夫なのかと不安になるでしょう。
しかし、近年建てられている数百メートル級の高層ビルは一応耐震性も考えて揺れに強い構造で作られているようです。地震の揺れは無くとも、台風や季節風の強風で高層階の揺れは結構大きくなるので。耐震技術が発達しています。
日系の大手建設会社が建設にかかわっている事も多く、古い建物はともかく、最近の高層ビルは日本ほどではないにせよ、耐震性ゼロと言うことでもなさそうです。
香港で直下型地震が起きる可能性は?
香港で直下型地震が起きる可能性は極めて低いと考えられているようです。
これは中央アジアから中国のチベット、雲南省、四川省などを通るアルプス・ヒマラヤ地震帯(造山帯)やチリ、北米西部、日本、台湾、フィリピン、インドネシア、ニュージーランドを通る環太平洋地震帯(造山帯)が活発な火山活動、地震発生地帯(新期造山帯とも言われます)であり、そこから外れている古期造山帯や安定陸塊と呼ばれているところでは火山活動や地震がほとんど無い為です。
隣接する広東省では比較的地震が起きていますが、これは阪神淡路大震災と同じ、火山活動やプレート移動とは関係の無い、活断層が原因の地震である事が多いです。この活断層は一応、香港の北西部にもかかっているので、将来的に香港を震源とする活断層型の地震が起きる可能性は否定出来ません。しかし、郊外の海、そして陸地もほとんど森林と畑しかないようなエリアを通っているので、実際には「地震が無い」と考えられるレベルかもしれません。
香港HSBCのペイオフ制度
一応金融のサイトなので、金融について少し触れておきます。
地震が起きてもすぐに銀行が破綻する事は考えにくいですが、被災地の銀行では現金が集まりにくくなるため、入出金の金額が制限される事は考えられます。
では、万が一破綻してしまった場合はというと、日本には預金保険制度、いわゆるペイオフ制度がありますね。これは、金融機関が破綻しても1,000万円までの預金が保護されるというものです。
但し、注意しなければいけないのは、外貨預金はこれに含まれません。ですので、資産分散の意味で外貨口座を作って日本の銀行口座にあずけていても、分散効果は高いとは言えません。
一方で、香港の代表的な銀行であるHSBCではどうでしょうか?
HSBCでは現在、50万HKD(現在のレートで約700万円)まで預金が保護されます。
そして日本と異なるのは、香港ドルだけでなく外貨預金も全て対象となるという事です。
保護対象金額が日本より少ないのは難点ですが、資産分散という意味では日本の銀行口座だけでなく海外の銀行口座を開いておくのはやはり有効だと思います。
ちなみに、香港ではリーマン・ショッック発生直後の2008年10月、香港政府は銀行システムの信頼を高める措置として(1)香港における預金の全額保護(2)必要に応じた銀行への資本注入――の2項目を発表しました。これにより、香港の銀行で開設した香港ドル預金・外貨預金のほか、外国銀行の香港支店にある預金口座についても2010年末までは政府が全額保護することを約束していました。
現在はこの制度に代わりペイオフ制度が施行されていますが、日本政府と異なり黒字の香港政府ですから、未曾有の事態でも金融資産を守ってくれる措置がある可能性は高いと思います。