2014年の雨傘革命は79日続いたが、今回2019年のデモはそれを超えた長さとなっている。デモ隊は5つの要求をし、行政長官のキャリーラムはそのうちの一つの要求でありかつ今回のデモのきっかけともなった「送中」法すなわち犯罪者を中国の司法で裁かせる法律を完全に撤回した。 機動隊とのにらみ合いが続く駅構内 もともと「反送中」で戦っていたのだから、「送中」が取り下げられた現在、デモをやる動機がなくなったのではないかと思いきやデモはますます過激化している。5つの要求のうち、絶対に香港政府(ならびにそれをバックアップする中国)がのめないであろう要求は「行政長官を普通選挙でえらぶ」ことだ。 中国はご存知のとおり共産党が統治しており、他の統治主体、たとえば民主主義などはクーデターでも起きない限り認められない。デモ隊はそこに挑戦しているのだから、多勢に無勢ではある。しかしデモ隊があのように民主化を叫ぶことによって中国の対外的なイメージは悪くなり逆に香港が浮上するとデモ隊は考えているようである。 しかし仮にイメージは良くなったとしても香港経済が耐えられるかどうか。デモが始まっていない今年第一四半期第二四半期にはすでに経済は減速し昨年比0.5%程度となっており、デモのインパクトが現れる現在の第三四半期にはかなりシビアな状況となることが予想される。観光客は40%減、うち中国大陸からの観光客に限れば90%近く減少しておりそれにつられて小売も軒並み10-30%下落している。 仮にデモが今すぐ終わったとしても本家中国の経済状況がよくない現在、今後香港経済が大幅に景気がよくなる見込みはない。 経済状況は引き続き悪いが、香港の金融インフラにはほとんど関係ない さすがに最近ではご質問をいただくことはなくなったが「香港がマズイ状況にあるとすれば、私の積立投資の証券は大丈夫なんでしょうか?」というお問い合わせに対しては上記のように答えるようにしている。また、実際に住所変更やファンド変更など、保険会社とやりとりをする中で特に変わった点はないことに安心された方も多いだろう。 たとえは良くないかもしれないが、魚の価格が下がったからといって築地(今は豊洲でしたね)が機能不全になることがないのと一緒である。デモは香港の実体経済にまで影響を及ぼしてはいるものの、それがご自身の証券にまで影響が及ぶことはない。 |
オイルは買いか? 本稿執筆中、イエメンがサウジの石油工場を攻撃したというニュースが入ってきた。この攻撃がきっかけとなってサウジの石油工場のいくつかが操業を停止し価格を安定させるためにさらなる減産をする予定だという。サウジアラビアの減産によって、世界の算出量の5-6%が失われる見込みである。 石油については、ここ数年煮え湯を飲まされているお客様も多いかと思う。100ドルを超えたと思えば、一気にそこから20ドル前後となる… といったような。逆に私どもからするとこのような投機的な動きをするオイルは買いやすいということになるが、買いに入るなら今はその水準(現在は1バレル60ドル前後)なのか。ツイッターなどでは「100ドル突破か」みたいな見出しが踊っている。 答えはNoである。サウジとイエメンの緊張が続けば、瞬間的に100ドルを超えることはあるかもしれない。しかし、これこそまさに投機的な動きであって世界経済の実情を反映するものではないだろう。基本的な貴重としては経済は減速傾向にある。したがって世界はかつてのように石油をがぶがぶ飲むことはない。 この状況のなかで投資妙味があるとすれば、かつてのように大幅に下落したときだが今すぐにそういった状況は訪れそうにない。 Bloombergの石油価格はこちら ※本記事は、毎月発行の弊社メルマガに掲載しているものです。メルマガにご登録頂くと最新のマーケット情報を毎月お届けします。 |