ドットプロット(Dot Plot)というグラフがある。 縦軸に法定金利、横軸に時間をとり、米連銀のメンバー一人が黄色いドット一つでアメリカの法定金利を決定する連銀メンバーが将来的にどれくらいの利上げを想定しているかのグラフである。 日本では金利にほとんど変化がないのでなじみのないグラフではあるが、アメリカでは連銀が金利を上げ下げするたびにこのドットプロットに基づいて投資戦略や経営戦略が立てられる。 現在、アメリカはほぼゼロ金利である。しかし年間のインフレが12月には7%となっておりこのインフレを抑えるためには量的緩和で連銀が抱えている債券を市中に放出しつつ(テーパリング)、法定金利をあげていく必要がある。 良いインフレが1-2%の物価上昇だとすると、現在の7%のインフレは悪いインフレだ。どれくらい金利を上昇させればインフレは止まるのか。連銀のメンバーは今後2年間で現在の水準から1.5%-2.0%程度上昇させればインフレは止まると予測しているようだ。 1回の金利の上げ下げで0.25%の倍数をとることが暗黙のルールであるから、1度の利上げで0.25%だとすると1.5%の利上げで6回、2.0%の利上げで8回の金利上昇となる。米連銀が利上げをすると、新興諸国から資金が引き上げられたり日本も円安に拍車がかかることになり他の国への影響は甚大なものになる。 先月のニュースレターでは2022年の株式相場を占うものの1つとしてテクノロジー株の下落を書いたが、さっそくこの利上げによってテクノロジー株は大きなダメージをうけている。しかもこのダメージは連銀のさらなる利上げによってますます深刻になることが予想されるので現在テクノロジーセクターのETFやインデックスを保有していらっしゃる方は保有を継続するかどうかは検討したほうがよいだろう。 また米国内だけでなく新興諸国や日本国内の輸入産業においてはドル高(=円安)を警戒しておいたほうがよい。ウォーレン・バフェットも円安を見越して円債を売却している。 Berkshire Hathaway Prices $1.1 Billion Worth of Yen Bonds – Bloomberg 円安に振れがちなのであれば、日本の株価には割安感が出てくる可能性もある。S&P500が株価収益倍率が22倍なのに対し日経平均では14倍だ。なにかのきっかけで日本株が大きく売られることがあれば、私たち投資家も日本市場に参入する可能性は十分にある。 |
ポートフォリオ
積立投資 アメリカで金利上昇が続けば、ハイイールド債は間違いなく売り込まれる。単なるポートフォリオ分散としてハイイールド債ファンドを購入しているのであれば、ファンドの選択も含めて弊社にご相談いただきたい。 一括投資 残念ながら今後数ヶ月はめだったリターンをあげられない可能性が高い。とはいえ「キャッシュにして避難しておく」というほどでもなく、ダラダラした展開が続くと思われる。 |