前回の記事ではFX自動売買システムECUSSONシステムを例に、その利益率、プラットフォームと運用会社について検証しました。引き続き残りの勧誘文について簡単に解説します。
目次
勝率の根拠が乏しい
勝率の根拠は高レバレッジと、過去10年程度の経済指標を元に失業率や物価指数等、日米経済発表があったタイミングだけ売買システムが稼働します。
この勝率の根拠も随分と粗いロジックですね。もう少し詳しく説明を聞きたい所ではありますが、恐らく聞いてもこれ以上の説明は出てこないと思います。
まず、高レバレッジは全く勝率の根拠にはなり得ません。レバレッジの意味から復習しましょう。
レバレッジとは
レバレッジとは、日本語で「テコ」を意味します。つまり、小さな力で大きなモノを動かす事ができます。FXに置き換えると「小さい金額で大きな投資」をする為の仕組みです。FXでは投資資金(証拠金)の最大25倍の取引が可能です。つまり、10万円で250万円の取引をすることができます。1ドル=100円の時に銀行で1万ドルを外貨預金する場合、100万円の資金が必要になりますがFXだと4万円で1万ドル(100万円)の取引ができます。
つまり高レバレッジとは、高いレバレッジをかけて、小さい金額でおり大きな投資をする事が出来るという意味なのであって、勝率とは何の関係もありません。
経済指標について
過去10年程度の経済指標を元に、失業率や物価指数等、日米経済発表があったタイミングだけ売買システムが稼働します
とあります。どの経済指標を元にするのか明示されていないので検証しようが無いですが、自動売買のロジックを組むのであればこのように1行で説明できるような簡単なものであるはずがありません。
恐らく、取引通貨が日本円⇔米ドルだけなので日米経済発表?があったタイミングでと書いているのでしょうが、日本円と米ドルとの関係は日本とアメリカの経済事情だけで決まるわけではありませんね。それこそ、EU危機、中国経済不安、テロ、大企業の不祥事など、ありとあらゆる経済事象が通貨の変動に関わってきます。
結論から言うと、これらの経済指標を全てウォッチして売買のロジックを作ることは不可能ですし、もし出来たとしても、日々変化する世界情勢に対応させるためのこのシステムのアップデートに膨大なコストがかかります。
追証が無い?
追証はございません。(マイナスになる事はないです。)
これも酷い勧誘ですね。少し勉強した方なら分かると思いますが、一般的にレバレッジが高くなるほど追証が発生しやすくなります。確かに追証が無いFXルールも存在しますが、だからといって「マイナスにならない」というのは全く意味が分かりません。追証についての詳しい説明はFX会社の説明に譲るとして、「投資なので必ずマイナスになる事はある」と覚えておきましょう。
そもそも、その前の文章で勝率95%〜96%と書いているので、それが仮に本当だったとしても5%は負けるという事です。それなのにマイナスにならないというのはどういうことなのでしょうか???
本当に儲かるソフトなら開発者は他人には教えない
このような自動売買ソフトなるものは、本当に存在しますし、検証しているサイトもあります。もちろん利益が出る場合もありますが、利益率については前述したとおりで、「勝率95%、良くない月で5%、良い月で10%」などという事はあり得ません。
絶対負けないソフトがもし存在すれば、開発者は誰にも教えずに自分だけが使うでしょう。投資は誰かが勝てば誰かが負けるので、勝者は少なければ少ないほどいいという事です。あえて勝者を増やすようなマネをする人はいないと考えましょう。
投資詐欺の兆候は「儲かる」から「負けない」へ
色々な経済不安が叫ばれる昨今、こういった投資詐欺の勧誘手口も徐々に変化してきていると感じます。
昔はFXの勧誘といえば、「1年で2倍に儲かる」というような高利回りを謳ったものが主流でしたが、今は日本人に資産保全の傾向がより強くなっている為、「経済に不安があるけどどうしたら良いかわからない、投資での儲けには興味があるけど極力リスクを抑えたい」という気持ちが高まり、そこにつけ込むように、
「知識のないあなたでも大丈夫!負けることは無いからとりあえずはじめましょう。低額もしくは初期費用ゼロで」
という勧誘に変わってきています。
繰り返しになりますが、負けない投資はありません。超低金利の今、国債を持つことにすら全く魅力を感じられず、「負けないFX」に注目が集まりやすいのかもしれませんね。
しかし、自分の将来に不安がある場合にやるべき事は、「知識不要、完全自動で手間いらずで負けないFX」に触手を伸ばす事ではなく、自分の仕事、収入、将来必要な収入、支出を見直し、ライフプランを立てる事です。何も考えずに儲けようなどと思ってはいけません。