目次
HSBC口座へ現金を持ち込むのは難しいの?
香港金融界隈で、HSBC関連情報をやたらと難しそうに見せて投資家の不安を煽っている人がいますが、あまりそういう情報に踊らされてほしくないと思いますので、よくあるこの質問にお答えします。
結論から言いますと、日本から香港に多額の現金を持ち込んで、HSBC口座に入金する方法はありますし、それほど難しくもありません。この場合、多額とは目安として100万円以上の事を指します。
では具体的にどうするのかというと、以下の2つの方法があります。
・素直に日本円をHSBCに持っていく
・両替屋で現金を小切手に変えてからHSBCに持っていく
ひとつずつ説明します。
素直に日本円をHSBCに持って行く場合
その名の通り、ゲンナマをHSBC窓口に持っていく方法ですが、100万円以上の場合、出金証明が求められます。出金証明は銀行の通帳で大丈夫です。当該銀行でその額を下ろした記録があれば、現金で受け付けてもらえます。
銀行の帯がついた札束であればより信頼性が高くなります。バラバラでしわくちゃになっている紙幣を持っていくのは出来るだけ避けましょう。
また、日本の色々な銀行に資産を預けている人で、各銀行から50万ずつ下ろして何千万円という金額になっている場合、HSBCで直接受付は難しいかもしれません。
HSBCに外貨を入金する場合、HSBCは外貨入金手数料を取ります。外貨入金手数料は入金額の0.125%です。(15万円以上を入金する場合にかかります)
プレミア口座なら審査が緩くなる?
HSBC口座の種類にはパーソナル口座(旧スマートバンテージ)、アドバンス口座、プレミア口座の3種類がありますが、よりグレードの高い口座を持っている方が、現金入金の審査は多少緩くなる傾向があります。ただ、緩くなると言っても出金証明は必要です。
両替屋で現金を小切手に変える
HSBCに現金持ち込みが出来なかった場合の手段として有効なのが、両替屋で日本円を香港ドルの小切手に変える方法です。持ち込んだ日本円相当の香港ドル小切手に変えてもらい、支払先を自分にしてもらいます。この小切手をHSBCに持っていけば普通に自分の口座に入金してもらえます。
この場合、当然両替手数料がかかります。HSBCよりは少々高くつきすが、それも懇意にしている両替屋であればHSBCと大きくは変わりません。
また、そもそも懇意にしている所でないと外貨を小切手に変える業務はしてもらえませんが、こういう事をやっている両替屋は香港内にいくらでありますし、現地に住んでいる人間であればいくつか知っているはずです。
口座への入金は送金が原則です
これらの2つの方法は香港では当たり前のように行われていますので、専門的な知識等は不要です。自分でもチャレンジすれば出来ることですので、いかにも難しいことのように言っている業者には気をつけてくださいね。
特に事前準備等も必要なく、両替屋であれば電話1本すれば終わりです。すぐに小切手を用意してくれます。
そして、日本人で現金を持ち込もうとする人にはどうも資産の移転による税逃れが頭にあるようですが、これから脱税への監視はどんどん厳しくなりますし、海外にある資産についても当然日本で税金を払うつもりでいて下さいね。
変なことをして後から追徴課税されるよりは、はじめから日本の銀行からHSBCに海外送金したほうがよっぽと賢いと思います。マイナンバーさえあれば送金できますし。
共通報告基準(CRS)により近々HSBCの口座情報も日本に筒抜けになります
金融口座に関する自動的情報交換(Automatic Exchange of Information for Financial Accounts) を聞いたことがありますか?
これは、外国の金融機関の口座を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、OECDが策定した「共通報告基準(CRS)」に従い、金融機関が非居住者に係る金融口座情報を税務当局に報告し、これを各国の税務当局間で互いに提供し合う仕組みの事を言います。
このCRSに則った情報交換が開始されれば、自動的にHSBCの口座情報は日本の税務局に共有される事になります。
そうなればこそこそと現金を持ち込んでいる努力は全くの無意味です。
日本を含む90ヶ国以上がこの制度を適用することを表明しています。この制度は、2017年1月1日より適用され、2018年に2017年分の金融口座情報が外国の税務当局に対して提供される予定です。
それでも税金を払いたくない人は非居住者になるかそれとも。。。
このCRSにより、あと2年位で海外資産はほとんど日本の税務局に筒抜けになります。もし税金の額を少しでも減らしたいのであれば、日本を出て非居住者になるという方法があります。
非居住者の定義は難しいですが、単に日本の住民票を抜くだけでもダメですし、1年の半分以上海外にいるだけでもダメです。シンプルに言うと、日本に住居と収入が無く、海外に住居があって収入があればほぼ間違いなく非居住者認定されるでしょう。そんな事が出来る人は多くないと思いますが。。。
非居住者になれない人は他の方法を考えるしかありません。海外の投資商品を契約して証券化する方法は今までは恐らく有効でしたが、CRS適用後は無意味になるでしょう。唯一の方法としては信託(トラスト)を利用するくらいでしょうね。
ちなみに、香港法人やケイマン法人、セーシェル法人などを作って節税する方法もありますが、今は銀行口座の開設自体が難しくなっていますし、結局銀行口座情報は全て日本に共有されるので、そう簡単ではないでしょう。