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HSBC口座開設が厳しくなるのは毎年恒例のお祭りのようなもの
香港金融業界に長く身を置いていると、定期的に上がってくるHSBCの話題。
「最近日本人HSBCの口座開設が厳しくなってきていると聞きましたが本当ですか?」
「やはり今の内に口座を作っておいた方がいいのでしょうか?」
少なくとも7~8年前から、毎年こういった心配をされる日本人の方と何人もお会いしているような気がします。
その度にお伝えしているのは、
「本当に今HSBC口座が必要だと思ったら開設手続きをしてください。」
という事だけです。なぜなら、その時々のHSBC口座開設のハードルの短期時流に流されても意味がないからです。
HSBC行員と仲良くしているとわかりますが、
HSBCは口座開設の条件は短期で、下手すると数ヶ月単位で変わっています。
例えば、2015年の最初の頃は、英語を喋れない人に対する口座開設が厳しくなり、口座開設時の通訳者同行が不可能になりました。
しかし今はどうでしょうか?
誰でも余裕で口座開設に同行できます。実際、通訳者の同行が全支店で不可能になったのは2~3ヶ月に過ぎないと思います。このような一過性の条件変更に対していちいち反応していてはキリがありません。
HSBC口座開設のハードル変更は毎年恒例のお祭りのように起こるものなのです。
お祭りに反応するのはいつも口座開設サポート業者
しかし、残念な事に、このお祭りに喜々として反応するのは口座開設サポート業者です。
HSBC口座開設が厳しくなりましたよ!
↓
世界情勢はこんなに不安定ですよ!
↓
日本ではマイナンバーが始まりますよ!
↓
さぁもっと厳しくならない内にHSBCに口座開設しましょう!
とんでもなく粗いロジックですが、彼らのお決まりパターンですね。今年はいよいよマイナンバー制度が開始されましたので、煽りは簡単です。
今後、また口座開設が簡単になったらどうなるでしょうか?
HSBC口座開設が簡単になりましたよ!
世界情勢はこんなに不安定ですよ!
↓
日本ではマイナンバーが始まりましたね!
↓
さぁ今のうちにHSBCに口座開設しましょう!
となりますね。業者はいつでも煽るのです。
とは言っても、マイナンバーが始まったのは事実だし、世界情勢も不安定だし、このストーリーは正しいのではないか?と思われますか?
世の中にはいつでも皆さんを不安にさせるニュースや逆に飛びつきたくなるような喜ばしいニュースが溢れています。その一部を切り取って、上記のようなストーリーに当てはめる事はいとも簡単なことです。
例えば、同じ業者が国内投資の話をする時は、世界情勢は不安定だという部分を、東京オリンピック需要に変えて、日本国内の不動産投資がチャンス、海外だけでなく国内にも投資しようというストーリーに変えているかもしれません。
海外の銀行はHSBCだけじゃない
更に、当たり前ですが、HSBC以外にも使いやすい海外の銀行はたくさんあります。日本人がHSBCばかりに固執するのはひとえに業者の長年の努力の賜物でしょう。
香港で言えばHSBCとほぼ同様に使える恒生銀行(ハンセン銀行)もありますし、大新銀行などのローカルバンクもあります。
またシティバンク、スタンダード・チャータードなど、世界中で使える銀行はいくらでもあります。最近では中国銀行や中国工商銀行なども外国人が口座を作るのは簡単です。
中国はこれから不況になるから、などと言う人がいますが、中国をなめてはいけません。中国工商銀行は資産額が世界一の銀行ですし、三菱東京UFJ銀行よりも海外で使うにはよっぽど便利です。
中国のメガバンクが潰れるような事態があればその前に日本が潰れているでしょう。
HSBC銀行口座開設を焦らないで!
HSBC口座を作るなと言っている訳ではありません。海外に銀行口座を持ち、資産を分散させ、リスクヘッジをするという考え方は大いに推奨されるべき事だと思います。
しかし、あなたにとって香港の銀行口座は本当に今必要なものなのでしょうか?
このテーマについては以下の記事で解説していますので是非ご覧ください。
香港の銀行口座を開設するのは今じゃなくていい
ご自身が口座を作る意味について良く考え、実行して頂ければと思います。
是非、口座開設を焦って行うことが無いようにお気をつけ下さい。
でも、もし口座開設が出来なくなったらどうするの?
と思う方がいるかもしれません。でも大丈夫です。口座開設なんていつでも簡単だからです。
HSBC口座開設なんていつでも簡単です
口座開設の難しさを度々煽る人のせいでやたらとハードルが上げられている気がしますが、口座開設に必要なのはいつでもたったこれだけです。
①パスポート
②住所証明(国際運転免許証)
③中学生レベルの英語力
どれひとつとして難易度が高いものは無いですね。
補足するとすれば、そもそも運転免許証を持っていない人は国際運転免許証の取得も出来ないので、別の住所証明が必要となります。例えば、日本の銀行で英文の残高証明(住所記載つき)を出してもらう。もしくは住民票に英文訳をつけたもの(要認証)を用意する、などです。
また、中学生レベルの英語力も無い!という人はそもそも口座開設しても活用できないと思うので作らない方がいいと思いますが、口座開設に必要な英語を教えてくれる業者はいくらでもいます。また、ネットで探せば英会話集などもダウンロード出来ます。
どうでしょうか?口座開設なんていつでも出来ると思えてきませんか?
経済不安とかHSBCのハードルとか関係なく、必要だと思った時に作ればいいのです。口座開設なんてその程度のもの、単なる選択肢のひとつでしかありません。
重要なのは今ある自分の資産をどのように守っていくか、口座開設して預けただけではもはやなんの防衛にもならないことはお分かりかと思います。
投資家の皆様は是非冷静に判断してください。