HSBC法人口座開設の厳しさに批判殺到
資金洗浄、マネーロンダリングの問題が続発する香港において、HSBCは法人の新規口座開設を厳格化してきました。特に、中小企業や、充分な財務諸表を用意できないスタートアップにとっては非常に開設が困難で、門前払いを食らう事態が頻発していました。
当然、香港内の各業界からは批判が続出、HSBCはそれに対する解決策を考えているようです。
法人口座開設の易化6つのポイント
解決に向けたポイントとは、
- 必要書類の明示
- Eメールによる書類の補完請求
- 銀行側の担当者の固定化
- 審査日数の短縮
- 関連職員の増強
- 問題発生時に問題解決のためのグループを即時組織する
の6点との事。
HSBCの工商金融中小企業主管である陳慶耀氏によると、口座開設拒否理由のうち、4割が書類不備、開設目的をしっかり説明できていないのが3割との事で、コミュニケーションさえ取れれば口座開設は容易になるという考えのようです。
4割が書類不備というのは果たして本当かと疑いたくなりますが、開設目的が曖昧なまま書類を出している事が結果として書類不備に繋がる場合はあるかもしれませんね。
6つのポイントのうち、いくつか注目すべきポイントがあります。まずは3、銀行側の担当者の固定化です。HSBC法人口座開設は法人窓口経由のアポイント制になっており、例えHSBC内に知り合いがいても、その人にダイレクトにアポを依頼することは禁止されています。その為、誰が担当になるかわからないのですが、どうも担当者がコロコロ変わっている印象がありました。そのせいで、担当者の中にもノウハウがたまっていない印象を受けました。ある程度担当者が固定されれば、書類不備への対応、審査日数等も迅速化されるかもしれませんね。
そして4、審査日数ですが、これも大きな問題です。HSBCやハンセンからは、概ね審査機関は2〜3週間と言われるのですが、これが全くアテになりません。5日で終わる時もあれば、2ヶ月かかる場合もあります。そして、2ヶ月かかる場合でも、その間一切銀行側から連絡はありませんし、詳しい状況も教えてもらえません。せめて2〜3週間というルールは守ってもらえると助かりますね。
個人的には、6の問題解決の為のグループ組織も気になります。これがどういったタイプの問題のことを指しているのかは分かりかねますが、企業側の出した財務諸表の分析、事業計画書の理解、取締役の経歴と香港法人の事業との関連性の把握などが足りていないせいで、HSBC行員が口座開設OKを出して良いのかどうかわからず、分からないからダメというような結論に達している場合もあるのではないかと推測しています。このような問題への対処組織であれば歓迎ですね。
本件の関連記事はSCMP(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)で読むことが出来ますので、ご興味の有る方はどうぞ。
HSBC exploring smoother process for opening company accounts in Hong Kong
New guidelines will smooth path for firms and foreign investors looking to open Hong Kong bank accounts
また、弊社ブログ記事でもHSBC法人口座開設に関する基本事項を解説しています。開設が難化しようが易化しようが基本は変わりません。